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内蔵・外蔵

20世紀が領土の陣取り合戦、思想の浸透合戦を展開した、いわば最後の「外蔵」を求めた世紀なら、21世紀は「内蔵」を高める世紀になるだろう。しかし依然として人類が、人間という欲望の動物であることに変わりはない。ただ戦略が変わろうとしている。地球上が、グローバルマネーのインサイダー取引市場と化したと思えば解りやすい。 先日もテレビで、ゴールドマンサックスという外資が東北のひなびた(失礼)温泉の再生を密かに目論んでいる番組をやっていたのを、憶えておられる方も多いいだろう。これなどは正しくスパイ天国だといわれる程無防備な日本での、外資ステルス作戦、インサイダー作戦である。全てにおいて一概に悪いと言っているわけではないが、これまでなら考えられない場所、業界でも、いつも間にか巨大マネーのターゲットになってくる。願わくば、北海道の旭山動物園の再生のような「内蔵」の強化によって成就した成功例報告をたくさん聞けるといいのだが・・・・。

翻って建築界。世界デザインで言えばモダニズムデザインがグローバリズムとして一応の世界制覇を果たしたのが20世紀の成果であるが、次段階となる21世紀的課題とも思える、昨今のランドスケープへの関心高さ、サスティナブル思考の隆盛などが、抽象化された「内蔵」志向の一端として顕現していると言える。日本的建築界でもオス的建築からメス的建築までの多様な幅、スタンスの許容力が増加するだろう。 たとえば先日も触れた2人の巨匠であるが、いわゆる丹下系雄性の一人勝ちから村野的雌性の復権へといえば大袈裟か。言い換えればドライからウエットなデザイン、思考への見直しが望まれるだろうということ。

いくつかの例を挙げたが、あくまで抽象的私的造語として「内蔵」「外蔵」と言っている。まずは自身のフィールドである建築デザインの世界においての「内蔵」充実を計るべく新建築を模索して行きたい。